住まいのプラザコラム

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充実して生きるための「生前整理記録帳」の作り方
情報をまとめ、大切な人に伝える

  • #整理・収納
  • #老後
2022年9月21日

生前整理の第3メソッド「情報をまとめ、大切な人に伝える」については、「終活」を思い浮かべる方も多いでしょう。 しかし元気なうちに亡くなるための準備をするのは、とても大変なこと。エンディングノートを持っていても書き上げられた人は、ほんの数パーセントだそうです。
生前整理では、モノの片付けから始めて自分自身と向き合う、「心の整理」というステップを踏んでいるので、スムーズに情報の整理伝達に取り組むことができます。

1.7つのカテゴリーで、スムーズな情報の整理伝達

人生の振返りがすみ、将来の暮らしのイメージができたら(住まいのプラザコラム「住まいのプラザコラム「かんたん自分史」がセカンドライフのヒントに?!」参照)、それに必要な情報を以下の7つのカテゴリーでまとめ、大切な人に伝える準備をしましょう。
用意するのはノートと筆記用具(あれば手持ちのエンディングノート)。データ部分の作成にはPCを使ってもかまいません。一度まとめておけば、災害時などの緊急時にも役立ちます。

①「自分のこと」 人生を振り返って作成した「かんたん自分史」と、仕事・趣味・好きなことやモノ・所属サークル・ボランティアなど「今の自分のプロフィール」
(「住まいのプラザコラム「かんたん自分史」がセカンドライフのヒントに?!」参照)
②「身体のこと」 自分の健康と医療情報(持病、かかりつけ医、服用中の薬、保険証番号など)、介護や終末期の希望など
③「暮らしのこと」 将来、どこで誰とどんな暮らしをしたいか(「住まいのプラザコラム「かんたん自分史」がセカンドライフのヒントに?!」参照)をイメージし、それに沿った片づけ・リフォーム・引越し・施設入居などのスケジュールや準備記録など
④「お金のこと」 将来の暮らしの希望を叶えるマネープランを作る(FPなどの専門家に相談するのもよい)ほか、資産負債保険一覧、相続関係図。必要なら別途遺言書。
⑤「気になること」 エンディングの希望(葬儀・墓や供養方法)、デジタル関連(端末ロック解除法、SNS等のアカウント、IDやパスワード一覧など)、ペット(託す人を決める)など
⑥「やりたいこと」 行ってみたい場所、やってみたい趣味、一度は食べたいもの、まだ挑戦していない夢、一度会いたい人などをできるだけ書き出す(「住まいのプラザコラム「かんたん自分史」がセカンドライフのヒントに?!」参照)と、新たな目標にもなります
⑦「感謝のメッセージ」 自分の大切な人には、今すぐ「ありがとうの」のメッセージを。万一のことが起こったあとでは、お互いに後悔します。

2.これから充実して生きるための「生前整理記録帳」の作り方

自治体配布や企業のノベルティなど、エンディングノートをお持ちの方が増えてきました。
しかし、パラパラとめくったが後回しにし忘れてしまう、意気込んで書き始めたものの途中で辛くなってしまう、書いた方がよいのはわかっているけれど、などの声が多数聞かれます
「介護のこと→考えたくない」「相続のこと→面倒くさい」「葬儀・墓のこと→誰かに任せたい」・・・
たしかに “自分が衰え亡くなるための準備”は、気が滅入りますよね。
実際、遺品整理現場では手つかずのエンディングノートが何冊も出てくるケースがあります。
そこで、ここではエンディングノートを“生前整理の記録帳”と考え、活用してみましょう。
エンディングノートの内容は、編集元により個々の違いはありますが、財産一覧などデータ記入部分が主で、自分史や望む暮らしなど「心の整理」部分が少ないことが多いので、ここに、先に1.でお伝えした7つのカテゴリー別にオリジナル制作した部分を足しましょう。 ただ、具体的なデータページは、自分でフォーマットを作るよりエンディングノートが便利なのでどんどん活用していきます。PCを活用するのもよい方法ですが、データの定期更新は忘れずに。
ほどよく合体すれば、「充実して生きるための生前整理記録帳」の完成です。

3.感謝の気持ちとともに、家族に情報を伝える方法

さて、こうして作った「生前整理記録帳」は、ご自身だけの総括ノートですので、状況や気持ちが変われば、どんどん書き込み・書き直しをしてください。普段は大切にしまっておき、災害時等には持ち出せるようにします。
しかし、「生前整理記録帳」の一番大切な役目は、自分に万一のことがあったときに、家族など大切な人に開いてもらうこと。
「生前整理記録帳」を書いたことと、その保管場所を伝えておく必要があります。
そして、その時にぜひ一緒に伝えてほしいのが、“感謝の気持ち”。
「感謝のメッセージ」は生前整理の情報伝達7つのカテゴリーの第7番目で準備していますが、このタイミングでも伝えましょう。口頭でも手紙でもかまいません。
「生前整理記録帳」に記しておいても、家族や大切な人が読むのは、万が一のとき。読んだ人に後悔の気持ちを残すことも・・・感謝や愛情を元気なうちに伝えるのも生前整理です。
本コラムでは、「生前整理の基本 - モノの片づけ・心の整理・情報の伝達」について、順を追って詳しく解説していきます
「生前整理」は「モノ・心・情報を整理」して、あしたの道すじを照らすこと。ひとりでも多くの方が新しい目標をもって幸せに生ききることができますよう、と願いつつ

~本コラムの筆者プロフィール~

村上 充恵氏

ル・リアン横浜代表。生前整理コンシェルジュ。神奈川大学EXT講座講師。セミナー、相談会などを通じて生前整理メソッドをわかりやすく伝える活動をしている。生前整理普及協会アドバイザー認定指導員、ファインシャルプランナー2級技能士。

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