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親と一緒に生前整理 失敗しないための8つのステップ

  • #整理・収納
  • #老後
2022年10月17日

親と一緒に生前整理をする場合も、基本的には自分の生前整理と同じように進めます。家族の良い思い出となるよう、踏んでほしい8つの基本ステップをご紹介します。

親の生前整理 8つのステップ

1.親の思い出のモノを集めて、思い出箱を作る

(2022/6/17コラム「思い出のモノの片づけかた」をご参照ください)
魔法の4分類シートを利用して、親と一緒に“使っていないけれど大切にとっておきたい思い出のモノ”を分けとります。もちろんそれはプライスレス。
このとき、その思い出のモノにまつわる話をできるだけ聞きましょう。忘れていたモノが出てきて昔話が弾むかもしれませんね。話すことで満足するとモノが手放せる場合もありますが、ここではモノを減らすより親子で思い出を共有することが大切。
残すと決めた思い出のモノは、装飾したミカン箱大の”思い出箱“に納め、”いらない“に置いた不要なモノは、売る・譲る・リサイクル・寄付・供養などの方法で手放します。

2.写真・アルバムを整理し、親のベストショットアルバムを作る

(2022/7/28コラム「写真とアルバムの整理法」をご参照ください)
昭和時代のフィルム式アルバムのレスキューは急務。「台紙にカビが生えていた」「フィルムに写真がくっついて剥がれない」などの事例が発生しています。大事な写真が傷んでダメになる前に写真を集め、親子で写真にまつわる話をしましょう。
選び抜いた紙焼き(プリント)写真30~50枚を手のひらサイズの手作りアルバムにまとめます。できれば最後のページには最近のお気に入り写真を入れて。
各ページにコメントや飾りをつければ、作るのも見るのも楽しい一冊になります。
ここでも大切なのは、写真にまつわる親の思い出話を聞き、アルバム作りを一緒に楽しむこと。
残った写真は処分できますが、デジタル化してカサを減らす方法もあります

3.歩んできた人生を聞き書きし、親のかんたん自分史を作る

(2022/9/5コラム「かんたん自分史がセカンドライフのヒントに」をご参照ください)
記憶が呼び覚まされるよう、親と写真を整理しつつ進めるのがコツ。親の出生時から現在まで時代ごとのエピソードを聞き取ります。長い人生を振り返ることで、幸せを感じ自分自身をいとおしく思え、また、今まで培ってきたチカラの洗い出しをすると、未来をイメージする余裕が出てきます。
家族にとっては、親の人生をあらためて知るきっかけにも。家族と人生を振り返る時間を共有できるのは、幸せなことだと思いませんか? (このあと、一般向けには3年後の自分の葬儀をプロデュースするプログラムがありますが、高齢親の場合はアプローチしづらいこともありますので、状況に応じて調整してください。)

4.親のやりたいことを聞き出し、叶えるお手伝いをする

(2022/9/5コラム「かんたん自分史がセカンドライフのヒントに」をご参照ください)
行ってみたい場所、やってみたい趣味、一度は食べたいもの、まだ挑戦していない夢、会いたい人、などをできるだけ聞き出します。親本人が無理と思っても、家族のアイディアとサポートがあればできることもまだまだあるはず。新たな生きがいや目標にもなります。
親と一緒にいられる時間は、思ったよりより短いもの・・・できる範囲で親のやりたいことを叶えるお手伝いをしましょう。親子のあたたかい思い出になり、それは子世代にとって親亡きあとの糧にもなります。

5.親に将来の住まいや暮らし方の希望を聞く

(2022/9/5コラム「かんたん自分史がセカンドライフのヒントに」をご参照ください)
親に将来、どこで誰とどんな暮らしをしたいかをイメージしてもらいましょう。
できる範囲でそれに沿って片づけ・リフォーム・引越し・施設入居などのスケジュールをたて、家族のサポートも併せて考えます。準備や進行など生前整理の記録を記していくと、励みになるばかりでなく、貴重な財産になります。

6.親の健康情報をまとめ、介護の希望を聞く

(2022/9/21コラム「充実して生きるための「生前整理記録帳」の作り方」をご参照ください)
親の健康状態と医療情報(持病、かかりつけ医、服用中の薬、保険証番号など)を聞いて手持ちのメモにし、各所に緊急連絡先として自分や家族の電話番号を登録します。
同時に、診察券・保険証お薬手帳の保管場所を聞き出して確認しておきます。
できればこの流れで、介護が発生した場合の希望、延命治療の必要性まで聞き出せたら良いですね。

7.親のマネープランを作成、財産情報をリスト化する

(2022/9/21コラム「充実して生きるための「生前整理記録帳」の作り方」をご参照ください)
将来の暮らしの希望を叶えるためのマネープラン作り。特に施設入居を希望する場合、まず必要資金の見通しを立てることが重要です。理想のプランのほか、介護が発生した場合の別プランも考えておくと安心(FPなどの専門家に相談するのもよい。基本的に、施設入居や介護用の資金は親の財産から支出。)です
ひきつづき、相続準備も兼ねて資産負債保険一覧、相続関係図を作成します。その結果、必要なら別途遺言書を用意します。

8.親のエンディングに関する希望とその他気がかり情報をまとめる

(2022/9/21コラム「充実して生きるための「生前整理記録帳」の作り方」をご参照ください)
エンディングの希望(葬儀・墓や供養方法)を聞き出すときは、墓参のタイミングのほか、参列したことのある葬儀の話から入るとスムーズです。特にいざというとき知らせてほしい人については、親が元気なうちにぜひ聞いておきたい項目。また、お墓の話は避けがちですが、“将来の継承者(墓守)の立場”として、できれば親の意向を聞いておきましょう。
その他デジタル関連(端末ロック解除法、SNS等のアカウント、IDやパスワード一覧など)、所属サークルや団体、ペットの行く末(託す人を決める)など気になる情報をまとめます。

本コラムでは、「生前整理の基本 - モノの片づけ・心の整理・情報の伝達」について、順を追って詳しく解説していきます
「生前整理」は「モノ・心・情報を整理」して、あしたの道すじを照らすこと。ひとりでも多くの方が新しい目標をもって幸せに生ききることができますよう、と願いつつ

~本コラムの筆者プロフィール~

村上 充恵氏

ル・リアン横浜代表。生前整理コンシェルジュ。神奈川大学EXT講座講師。セミナー、相談会などを通じて生前整理メソッドをわかりやすく伝える活動をしている。生前整理普及協会アドバイザー認定指導員、ファインシャルプランナー2級技能士。

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